眠れないときの対処法とは?

ベッドに入ったのに、なかなか寝つけない。目を閉じると頭の中にいろいろな考えが巡って、むしろ目が冴えてきてしまう…。そんな経験、ありませんか?
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(令和5年)によると、日本人成人のうち約25%、つまり4人に1人が慢性的な不眠に悩んでいるという結果が出ています。出典:厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査」
眠れない夜は本当につらいものですが、適切な対処法を知っておくことで、睡眠の質を改善することができます。
この記事では、眠れないときにすぐに試せる対処法から、科学的根拠のある睡眠改善アプローチまで、幅広くご紹介します。
眠れない原因とは?
まず、なぜ眠れないのか、その主な原因を理解しておきましょう。
1. ストレスや不安
仕事や人間関係のストレス、将来への不安などは、交感神経を優位にさせ、心身を緊張状態にします。この状態では、リラックスして眠りにつくことが難しくなります。
2. 生活リズムの乱れ
不規則な就寝・起床時間、休日の寝だめ、夜遅くまでの活動などは、体内時計を乱し、自然な眠気が訪れにくくなります。
3. 環境要因
部屋の温度や湿度、明るさ、騒音なども睡眠の質に大きく影響します。寝室環境が快適でないと、寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めたりしてしまいます。
4. 身体的・精神的な疾患
うつ病、不安障害、注意欠如・多動症(ADHD)、双極性障害などの精神疾患では、不眠症を伴うことが多いとされています。双極性障害では70%、うつや不安を抱える成人の60%に不眠症が認められています。[出典:Ekholm B, et al. J Clin Sleep Med. 2020;16(9):1567-1577]
眠れないときにすぐできる対処法
1. 焦らず、リラックスを心がける
「眠らなければ」と焦るほど、かえって目が冴えてしまいます。これは、焦りによって交感神経が優位になり、覚醒状態が強まってしまうからです。「眠れるまで待ってみよう」という気持ちでリラックスすることが大切です。
2. 腹式呼吸で心を落ち着かせる

【腹式呼吸の方法】
- 口からゆっくりと息を吐きながら、お腹がへこむのを意識します
- 鼻から息を吸いながら、お腹が膨らむのを感じます
- 吸うときの倍くらいの時間をかけて、ゆっくりと息を吐きます
イヤなことや頭に浮かぶことを息と一緒に吐き出すイメージで、頭を空っぽにしていきましょう。
3. 筋弛緩法で身体の緊張をほぐす
筋肉に一度力を入れてから脱力することで、リラックス効果が得られます。
【手のリラックス】
- 手をグーに握って力を入れ、5秒キープ
- 一気に脱力し、力が抜ける感覚を味わう
【足のリラックス】
- 足首を曲げてアキレス腱を伸ばし、5秒キープ
- 脱力して、リラックス感を感じる
[出典:睡眠障害の対応と治療ガイドライン 第2版, じほう, 2012]
4. リラックスのツボを押す
頭頂部にある「百会(ひゃくえ)」というツボは、心を落ち着かせるのに役立ちます。両手の指先や手のひらを使い、息を吐きながら5秒ほどやさしく押してみましょう。
場所は「頭頂部のぼぼ真ん中で、少し凹んでいるところ」です。
細かく言うと「両耳を結んだ線」 「鼻から上に通る線 (体の中央線)」 が交わる所です。
5. 寝室環境を整える

寝つきには温度や湿度が大きく影響します。寒すぎると体温を保とうとして血管が収縮し、逆に暑くて湿度が高いと体内の熱が逃げにくくなります。エアコンを上手に使い、快適な環境を作りましょう。
また、部屋の明かりは不安を感じない程度まで暗くすることをおすすめします。
[出典:健康づくりのための睡眠指針 2014, 厚生労働省健康局]
6. それでも眠れないときは、一度ベッドから離れる
リラックスを試みても眠れないときは、いったん起き上がってベッドを離れましょう。暗い中で目を閉じて横になっていると、ネガティブな思考が巡りやすくなります。
また、「ベッドに入っても眠れない」という経験を繰り返すと、脳が「ベッド=眠れない場所」と記憶してしまい、不眠が慢性化する恐れがあります。
ベッドを出たら、退屈な本を読んだり、気になっていたことを片付けたりして、穏やかに過ごしましょう。ただし、スマホやタバコ、カフェイン、アルコールは避けてください。
[出典:内山真著『睡眠のはなし 快眠のためのヒント』中央公論新社, 2014]
日頃から心がけたい睡眠改善習慣
眠れない夜の応急処置も大切ですが、根本的に睡眠の質を改善するには、日頃からの生活習慣の見直しが欠かせません。
1. 起床時間をできるだけ一定にする
毎日同じ時間に起きることで、体内時計が整い、夜に自然な眠気が訪れやすくなります。休日も平日と1時間差以内に抑えることが理想的です。
2. 朝の光を浴びる
起床後、できるだけ早く太陽の光を浴びましょう。体内時計がリセットされ、夜にメラトニン(睡眠ホルモン)が分泌されやすくなります。
3. 日中に適度な運動をする
日中に体を動かすことで、ストレス解消になり、夜の睡眠の質が向上します。ただし、寝る直前の激しい運動は逆効果なので避けましょう。
4. 寝る前の過ごし方に注意する
- 寝る2時間前は重い食事を避ける
- 寝る前に水分を取りすぎない
- 寝る4時間前からはカフェインやお酒を控える
- 寝る前のスマホやパソコンの使用を控える
科学的根拠がある不眠症対策:チェーンブランケット
これまで一般的な対処法をご紹介してきましたが、ここでは医学的なエビデンスがある不眠症対策として、「チェーンブランケット」をご紹介します。
チェーンブランケットとは?
チェーンブランケットは、スウェーデンで生まれた「適度な重みのあるブランケット」です。金属製のチェーンが均等に配置されており、身体に心地よい圧力をかけることで、まるでハグされているような安心感を生み出します。

医学的エビデンスに裏付けられた効果
2020年9月、世界的に権威ある医学誌「The Journal of Clinical Sleep Medicine」に、チェーンブランケットの不眠症への効果を証明する研究論文が掲載されました。
【研究概要】
カロリンスカ医科大学(スウェーデン)の研究グループによって行われたこの研究では、重度のうつ、双極性障害、全般性不安障害(GAD)、注意欠如・多動症(ADHD)などの精神疾患を持ち、不眠症状がある18歳から77歳までの男女120人を対象に、4週間のランダム化比較試験が実施されました。
【研究結果】
- 重いチェーンブランケット(6kg-8kg)を使用したグループは、第1週目から統計的に有意な不眠の改善を示しました
- 4週間で不眠重症度指数(ISI)の中央値は21.7点→9.2点へと大幅に改善
- 12ヶ月後の追跡調査では、被験者の78%がISI8点未満(睡眠障害として分類されないレベル)まで改善
- 不眠だけでなく、日中の倦怠感や不安、うつの症状、活動レベルも改善

[出典:Ekholm B, Spulber S, Adler M. "A randomized controlled study of weighted chain blankets for insomnia in psychiatric disorders." J Clin Sleep Med. 2020 Sep 15;16(9):1567-1577. doi: 10.5664/jcsm.8636]
この研究により、チェーンブランケットが精神疾患を持つ方の不眠症に対して、効果的かつ安全な介入方法であることが科学的に証明されました。
なぜチェーンブランケットは効果があるのか?
チェーンブランケットの適度な重みは、「深部触覚刺激(Deep Touch Pressure)」を与えます。これにより、副交感神経が優位になり、リラックス状態が促進されると考えられています。
感覚統合が未熟な赤ちゃんが泣いたときに、抱っこすることで落ち着いて眠るのと同じ原理です。チェーンブランケットは、大人にもその安心感を提供してくれるのです。
スウェーデンでは保険適用の医療器具
チェーンブランケットは、スウェーデンやデンマークの病院では、発達障害でADHDの診断を受けた方の不眠対策として、保険適用の公的補助があります。すでに5万枚以上が使用されており、医療現場で広く認められています。
日本でも導入が進んでいます
日本でも、全国の精神科病院や療育センター、放課後等デイサービス、学校の特別支援教育、歯科医院などで導入が進んでいます。
ただし、チェーンブランケットは一般的な寝具と比べて高価なため、いきなり購入するのは不安という方も多いかもしれません。そんな方には、宅配レンタルサービスの利用がおすすめです。
実際にご自宅で2週間お試しいただき、効果を実感してから購入を検討することができます。重さは4kg・6kg・8kg・10kg・12kg・14kgから選べ、ご自宅で洗濯も可能です。
専門医に相談することも大切
ここまで様々な対処法をご紹介してきましたが、現在の不眠症治療である認知行動療法と薬物治療でも、約40%の不眠症患者には十分な効果がみられていないという現実があります。[出典:Ekholm B, et al. J Clin Sleep Med. 2020;16(9):1567-1577]
もし、これらの対処法を試しても改善が見られない場合や、日常生活に支障をきたすほどの不眠が続く場合は、睡眠専門のクリニックや精神科、心療内科を受診することをおすすめします。
専門医による適切な診断と治療により、睡眠の問題が改善される可能性があります。
まとめ

眠れない夜は、焦らずリラックスすることが何より大切です。腹式呼吸や筋弛緩法、環境の調整などを試してみてください。それでも眠れないときは、無理にベッドにとどまらず、一度起き上がってリラックスできることをしましょう。
そして、根本的な睡眠改善のためには、日頃からの生活リズムの見直しが欠かせません。起床時間を一定にする、朝の光を浴びる、適度な運動をするなど、できることから始めてみましょう。
また、医学的エビデンスのあるチェーンブランケットのような睡眠補助ツールを活用するのも一つの方法です。精神疾患に伴う不眠症に対して、78%の方が大幅な改善を示したという研究結果は、多くの方に希望を与えてくれるものです。
チェーンブランケットにご興味がある方は、まずは宅配レンタルで実際の効果を体験してみてはいかがでしょうか。ご自宅でゆっくりとお試しいただき、ご自身に合うかどうかを確認してから購入を検討できます。
質の良い睡眠は、心身の健康の基盤です。自分に合った方法を見つけて、快適な睡眠を取り戻しましょう。
チェーンブランケットの宅配レンタルについて詳しくは、こちらをご覧ください。


