ADHDの子どもが寝ない理由と対策|感覚統合の視点から見る睡眠改善法

毎晩の寝かしつけに疲れていませんか?

「もう寝る時間なのに、子どもがベッドでゴロゴロ動き回って寝ない」 「やっと寝かしつけたと思ったら、1時間以上かかってしまった」 「朝の目覚めが悪くて、学校に行くのを嫌がる」

ADHDの特性を持つお子さんの保護者の方から、このような睡眠に関するお悩みをよくお聞きします。寝かしつけに時間がかかると、保護者の方も十分な休息が取れず、家族全体の生活リズムが乱れてしまいます。

実は、ADHDのお子さんが「寝ない」「寝つきが悪い」という背景には、脳の感覚情報の処理方法が関係していることをご存じでしょうか。この記事では、ADHDと睡眠問題の関係、そして「感覚統合」という視点から見た具体的な対策方法をご紹介します。

ADHDの子どもに睡眠問題が多い理由

脳の中では「交通渋滞」が起きている

ADHDのお子さんの脳内では、様々な思考や刺激が絶えず駆け巡っています。これは、まるで頭の中で「交通渋滞」が起きているような状態です。

  • 日中の出来事が次々と思い出される
  • 「明日は何をするんだっけ?」と先のことが気になる
  • 部屋の小さな音や光が気になって集中できない
  • 体がむずむずして、じっとしていられない

夜になっても脳が「興奮モード」から切り替わらず、リラックスして眠るための準備ができないのです。

体内時計のズレ

研究によると、ADHDのお子さんの中には、体内時計(睡眠リズム)が一般的な時間より遅れている場合があります。そのため、「夜9時に寝かせたい」と思っても、お子さんの体はまだ「起きているモード」のままで、自然な眠気が訪れにくいのです。

感覚の特性による影響

ADHDのお子さんの多くは、感覚の処理が独特です。

  • 布団の肌触りが気になる
  • パジャマのタグがチクチクして気持ち悪い
  • 自分の体がベッドのどこにあるのか、うまく感じ取れない

このような感覚的な不快感や混乱が、安心して眠ることを妨げているケースも少なくありません。

「感覚統合」って何?—脳の交通整理のしくみ

ここで、少し専門的な話になりますが、**感覚統合(かんかくとうごう)**という言葉をご存じでしょうか。難しく聞こえるかもしれませんが、実はとても身近な脳の働きのことです。

脳の「交通整理」機能

私たちは毎日、目・耳・鼻・舌・皮膚から、膨大な量の情報を受け取っています。さらに、以下のような「見えない感覚」も常に働いています:

触覚:物に触れたときの感触を感じる
固有受容覚(こゆうじゅようかく):筋肉や関節の動きから「自分の体がどこにあるか」「どんな姿勢か」を感じ取る感覚
前庭覚(ぜんていかく):体のバランスや動き、スピードを感じる感覚

脳は、これらの感覚情報を自動的に「交通整理」して、適切に反応できるようにしています。この働きが「感覚統合」です。

感覚統合がうまく働かないとどうなる?

感覚統合がスムーズでない場合、以下のようなことが起こります:

  • 落ち着きがない:自分の体の位置がうまく感じ取れず、動き回ることで確認しようとする
  • じっとしていられない:適切な刺激が脳に届かず、常に刺激を求めてしまう
  • 不安や緊張が強い:感覚情報が混乱して、安心できない

特に、**「自分の体がここにある」という感覚(ボディイメージ)**が持ちにくいと、落ち着いて眠ることが難しくなります。

「重み」が安心感をもたらす科学的な理由

「抱っこすると赤ちゃんが泣き止む」「ぎゅっとハグされると落ち着く」—これらの経験はありませんか?

実は、体に適度な圧力がかかることは、科学的にリラックス効果があることが証明されています。この効果を「深部圧刺激(しんぶあつしげき/Deep Pressure Stimulation)」と呼びます。

深部圧刺激の3つの効果

1. 副交感神経が優位になる

体に優しい圧力がかかると、リラックスを司る「副交感神経」が働きやすくなります。これにより、心拍数が落ち着き、呼吸が深くなり、眠りに入りやすい状態になります。

2. ボディイメージが明確になる

適度な重みによって、「手がここにある」「足がここにある」という体の認識が明確になります。自分の体の位置がわかることで、安心感が生まれます。

3. セロトニンの分泌促進

圧力刺激は、「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンの分泌を促すと考えられています。セロトニンは不安を和らげ、心を落ち着かせる働きがあります。

チェーンブランケット—北欧生まれの「重い布団」

スウェーデンの病院で処方される寝具

チェーンブランケットは、北欧スウェーデンで生まれた、医療現場でも使われる特別な掛け布団です。スウェーデンやデンマークの病院では、不眠や不安、ADHDなどの症状がある方に対して、作業療法士が保険処方することもあります。

すでに5万人以上の方が使用しており、日本でも療育施設や特別支援学校、ご家庭で活用されています。

なぜ「チェーン」なのか?

チェーンブランケットの最大の特徴は、布団の中にスチール製のチェーン(鎖)が縫い込まれていることです。

「なぜチェーン?」と思われるかもしれませんが、これには理由があります:

体にぴったりフィットする チェーンは柔軟性があるため、体の曲線に沿って自然にフィットします。まるで誰かに優しく抱きしめられているような感覚になります。

通気性が良い ビーズや砂を詰めた重い布団と違い、チェーンには隙間があるため通気性に優れています。夏場でも蒸れにくく、快適に使えます。

洗濯機で洗える チェーンには防さび加工と金属アレルギー対応加工が施されており、ご家庭の洗濯機で丸洗いできます。清潔に保てるため、安心して毎日使えます。

感覚の調整ができる チェーン側の面とクッション側の面があり、その日の気分や感覚特性に合わせて使い分けができます。

科学的根拠—カロリンスカ医科大学の研究

チェーンブランケットの効果は、科学的にも証明されています。

スウェーデンのカロリンスカ医科大学附属病院の研究グループによる研究では、重いチェーンブランケットは、うつや双極性障害、全般性不安障害、注意欠如・多動症(ADHD)のある患者の不眠に対して効果的かつ安全であり、日中の症状や活動レベルも改善することが発表されました。

この研究は、2020年9月15日発行の権威ある医学誌『The Journal of Clinical Sleep Medicine』に掲載されています。

実際の使用事例—お子さんと保護者の声

ケース1:寝かしつけ時間が1時間から15分に

発達支援センターでの事例 「ADHD傾向のある児童で、寝かしつけに1時間以上かかっていたが、チェーンブランケットを使ってから10~15分で寝られるようになった。普通の布団だとゴロゴロと動き回ってしまうが、チェーンブランケットなら、落ち着いてそこに居てくれる」

ケース2:途中で起きることがなくなった

保護者の声(シングル6キロご使用) 「いつもよりよく眠れたと本人の感想です。とても気に入って使っておりました。寝てる途中で誰かを起こしに行くこともなくなりました。本人がよく眠れると家族もよく眠れます。良かったです」

ケース3:睡眠薬を減らせた

保護者の声(シングル6キロご使用) 「寝付いてから、3~4時間すると、いつも目が覚めてしまっていたのに、6時間くらい目が覚めずに眠ることができるようになりました。睡眠薬の量もだいぶ減らすことができて、とても助かりました」

ケース4:学校の行き渋りが消えた

保護者の声(シングル8キロご使用) 「睡眠時間は確保しているものの、寝相が悪く、一晩中動き続けたり、時には座っていることもありました。学校の行き渋りが増え、休み始めた時に放課後等デイサービスよりチェーンブランケットを勧めてもらい、使用するとその日を境に行き渋りは無くなり、朝の目覚めがスムーズで機嫌が良い。登校が安定したのでブランケットを返却し様子を見ると再び行き渋りが始まり朝起きれない日が続く。本人から『ブランケットが6年生まであればなぁ』と言われ購入を決めました。現在も遅刻はほぼ無くなり、楽しく学校に通っています」

ケース5:クールダウンに効果的

保護者の声(シングル8キロご使用) 「調子が悪い時、布団をかぶって落ち着こうとするのですが、上からチェーンブランケットをかけてやると落ち着く事が早く出来るようになったと思います」

お子さんに合ったチェーンブランケットの選び方

重さの選び方

チェーンブランケットは、感覚を調整するものなので、お子さんの好みで選ぶのが基本です。

よく選ばれている重さ:キッズサイズ

  • キッズ3キロ(サイズ:105×130cm)
    • 小さめのお子さん向け
    • 軽めの包まれ感を好む場合
  • キッズ5キロ(サイズ:100×140cm)
    • そわそわ落ち着かない、眠りにくいお子さん
    • しっかりとした包まれ感を求める場合
    • 大人の夏用掛け布団としても使える

よく選ばれている重さ:シングルサイズ

  • シングル6キロ(サイズ:150×200cm)
    • 「重いのは苦手だけど、眠りにくい」という方
    • 初めてチェーンブランケットを試す方
  • シングル8キロ(サイズ:150×200cm)
    • しっかりとした重みを感じたい方
    • クールダウンやリラックスが目的の方

重さの考え方

  • 重量の大きさは、「ぎゅっとされる強さ」だと考えてください
  • 体にかかっている部分だけの重さがかかるので、小学生でも8キロを使えます
  • レンタルで試してから決めることをおすすめします

感覚特性に合わせた選び方

感覚過敏があるお子さん

  • 両面ともパッド(クッション)が入った「センシティブ(レンタル品ではスリーピー)」モデルがおすすめ
  • チェーンの凹凸をほぼ感じない設計

チェーンの感触が好きなお子さん

  • 標準モデルのチェーン側を使用
  • 凹凸による刺激がさらに落ち着きを促すことも

日中も活用できる使い方

チェーンブランケットは、睡眠時だけでなく日中も活用できます。

学校や療育施設での活用例

  • クールダウンスペース:気持ちが高ぶったときに、静かな場所でチェーンブランケットを掛けて休憩
  • 授業中のひざ掛け:落ち着いて座っていたいときに使用
  • 送迎車の中:移動中に落ち着いて座るために使用

家庭での活用例

  • 宿題タイム:肩や膝に掛けて集中力アップ
  • リラックスタイム:テレビや読書の時間に
  • 半分に分けて:ファスナーで半分にできるので、持ち運びも便利

まずは2週間レンタルで試してみませんか?

「うちの子に合うかな?」 「重さはどれがいいんだろう?」

そんな不安をお持ちの方のために、ラーゴム・ジャパンでは2週間のレンタルサービスをご用意しています。

レンタルのメリット

✓ ご自宅でじっくり試せる 実際の生活環境で、お子さんの反応を見ながら判断できます

✓ 重さを確認できる 複数の重さを試すことも可能です(再レンタル可能)

✓ 購入時はレンタル料相当を割引 レンタル後に購入される場合、レンタル料相当額が割引されます(実質負担なし)

✓ 親身なサポート お子さんに合った重さの選び方など、スタッフが丁寧にアドバイスします

価格について

キッズサイズ

シングルサイズ

  • シングル6キロ、8キロ、10キロなど各種取り揃えております

詳しい価格や仕様は、公式ネットショップをご覧ください。

よくあるご質問

Q. チェーンの感触が気になりませんか? A. チェーンの感触をダイレクトに感じる面とやわらかな感触の面があり、お好みで使い分けられます。意外にもチェーンの凹凸によってさらに落ち着きやすいお子さんも少なくありません。感覚過敏の方向けに、クッションを厚くした「センシティブ(レンタル品はスリーピー)」モデルもあります。

Q. 小学生だとシングル8キロは重すぎるでしょうか? A. チェーンブランケットが体にかかっている部分の重さしかかかりません。成人であれば8キロの1/3程度、体の小さいお子さんであれば、もっとかかる重みは小さくなります。取り回しが負担であれば、キッズサイズもご用意があります。

Q. 寝ている途中で脱いでしまいますが、いいのでしょうか? A. 愛用されているユーザーさんでも、一晩中お使いになる方ばかりではありません。落ち着いて寝入ってしまったら掛けない方もいらっしゃいます。あくまで感覚を調整するためのツールです。

Q. 夏は暑くないですか? A. チェーンブランケットはできるだけ薄く作ってあるため、空調を使用すれば夏場も使えます。足元やお腹だけ掛けたり、ファスナーで半分に分けて使う方もいらっしゃいます。

まとめ:感覚統合の視点で睡眠問題にアプローチ

ADHDのお子さんが「寝ない」理由の背景には、感覚情報の処理の特性が関係していることがあります。チェーンブランケットは、適度な重みによって以下の効果をもたらします:

✓ 体の位置(ボディイメージ)が明確になり、安心感が得られる
✓ 副交感神経が優位になり、リラックス状態に入りやすくなる
✓ 「ハグされているような感覚」で情緒が安定する

多くのお子さんと保護者の方が、寝かしつけ時間の短縮、夜間覚醒の減少、朝の目覚めの改善などの効果を実感されています。

「毎晩の寝かしつけが辛い」 「子どもがぐっすり眠れるようにしてあげたい」

そんな思いをお持ちの保護者の方は、まずは2週間レンタルで、チェーンブランケットをお試しになってみませんか?

ユーザーインタビューより

関連記事

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--- ## 参考文献・出典

###学術研究
- Ekholm, B., Spulber, S., & Adler, M. (2020). A randomized controlled study of weighted chain blankets for insomnia in psychiatric disorders. *Journal of Clinical Sleep Medicine*, 16(9), 1567-1577.

### 医療・専門機関
- ウィズ・ユー「ADHDの子どもの睡眠障害|寝ない原因と具体的な対策」 - 阪野クリニック「子どもが寝ない理由と対処法【幼児・小学生向け】」
- LITALICO発達ナビ「発達障害がある子どもの不眠、どんな対処法がある?」

### 感覚統合関連
- LITALICO発達ナビ「1人ひとりの「感覚の特性」を考えよう!」
- はぐちるの森「前庭覚と固有覚の働きについて知ろう」 - AIAI VISIT「感覚統合とは何?遊びや専門支援で育む子どもの力」

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